米国での職場の人間関係

Dr. Ohori

米国での職場の人間関係

 何となく米国での人間関係は自由でドライで、ある意味何でもありの印象を持つ人が多いと思いますが、私が約9年米国で暮らした中での印象はだいぶ違います。主に職場での人間関係ですが、私のボスのスカルデイーノ先生はその実力・人柄をベイラー医科大学の元主任教授に買われ、誘われてベイラー医科大学に来ました。その個人的な関係は強く、その期待に答えれば、種々の面接などのプロセスを経た結果、主任教授になります。スカルデイーノ先生は文句なく主任になりましたが、約10年後、ニューヨークのスロン・ケタリング癌センターの主任になり移ることになたtのですが、ある時、スカルデイーノ先に期待して勧誘した元主任教授がご立腹との噂を聞いて、スカルデイーノ先生に直接、その人との関係はどうなのか聞いてみました。スカルデイーノ先生は何も言わず引き出しから5枚ほどの便箋に手書きで書かれた手紙を見せてくれました。しっかり読む時間はありませんでしたが、スカルデイーノ先生から元主任教授への感謝と謝罪の手紙でした。こういう時はタイプライター(その当時はまだタイプがありました)でもなく、手書きで書くんだと驚きました。しかし、この子弟関係は特別ではなく、スロン・ケタリング癌センターで一緒に働いた何人かは帰るべき大学病院があり、それぞれの大学からスロン・ケタリング癌センターで勉強して来い、と言われた研究員(フェロー)で、2年間手術・研究をして元の大学に戻り、若くして主任になる人が何人もいました。若くしてその素質を見込まれ育てられるシステムがあるんですね。一般にはドライな人間関係が多いとは思いますが、職場での人間関係をみていると礼を尽くし、決して人を傷つけまいという側面もあるなと感じました。

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