泌尿器科レクチャー:切迫性尿失禁

Dr. Ohori

泌尿器科レクチャー:切迫性尿失禁

切迫性尿失禁は、尿が溜まり、がまんできずに漏れる失禁です。典型的な例では、外出から帰宅、玄関で鍵を開けようとするあたりが急激な尿意、トイレに駆け込む、などがあります。かなり多くの中高年の方が経験しているのではないでしょうか。 様々な原因があります。我々は普通は何も考えずトイレに行き排尿していますが、排尿も極めて精巧なメカニズムで成り立っています。もともと膀胱は周囲が筋肉で覆われていますが柔軟性・伸縮性のある臓器です。個人差がありますが通常、尿が150cc前後たまり膀胱の壁が伸びると、その情報が脊髄から脳に伝わり尿意として感じます。今度は脳から排尿命令が出て、尿をためて栓の役割を持つ尿道括約筋が開き、膀胱が収縮して排尿します。この神経の伝達の途中が、脳梗塞・脳溢血・パーキンソン病・脊髄損傷・脊柱管狭窄症などで問題が起きると尿失禁の原因となります。また、男性の前立腺肥大症、女性の臓器脱(膀胱脱や子宮脱)などで膀胱が圧迫されたり、形が変わってしまうと膀胱の壁がうまく広がらず、結果的に切迫性尿失禁になってしまいます。

症状を確認し、前述した検査で切迫性尿失禁とわかると以下の様な治療があります。

•内服治療:膀胱の過剰な働きを抑える抗コリン薬を服用してみる。一定の効果が得られることがあります。

•行動療法:飲水コントロール(最近では熱中症予防で水分を取れ取れと言われていますが過度な水分摂取で切迫になっている人は多くいます)、カフェインコントロール(特にコーヒーのカフェインはすぐ尿意を起こしてしまい頻尿や切迫の原因となります、コーヒーを沢山飲んでいる方は数日やめてみてどうなるか試してみましょう)、骨盤底筋訓練、尿意があっても少しがまんする膀胱訓練など(どういう時間帯に尿失禁が起きるか1週間くらいみてみると傾向がわかります、その時間帯の前3時間くらいの水分を減らすとか、その時間帯の10分前にトイレに行ってしまう、と効果があることがあります)。

•前立腺肥大症の治療:α1ブロッカー(尿道を開きやすくして尿の勢いを強くして膀胱の中に残る残尿を減らす)を内服したり、場合により各種手術(TURp,HOLEP, PVT, UroLiftなど色々あります)により排尿全体を改善すると切迫性失禁も改善します。

•臓器脱:最近ではロボット手術で臓器脱を治す治療が盛んです。その他、ペッサリーを入れることもあります。

水分・カフェインのコントロールで改善する方も多いですが、それでもダメなら一度専門医を受診するのが良いと思います。

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