泌尿器科の病気もかなり幅広いですが、ED(erectile dysfunction、勃起不全)も大切な分野です。以前はインポテンスと呼んでいましたが、今では専門家もEDと呼びます。年齢とともにEDの傾向となるのは仕方がないですが、原因は色々あります。多い原因としては糖尿病があります。糖尿病は怖い全身病でひどいと目が悪くなったり、腎臓の機能が悪くなったりしますが、神経が弱くなることでEDとなることがあります。また、我々が多く実施している前立腺がんに対する手術の影響もあります。ロボット手術になり、前立腺の横を走っている左右1本ずつの勃起神経を温存することで機能が保たれることが多いです(左右とも温存すると手術後2年後まで80〜90%、片側の温存で50%ほどが改善します)が勃起神経の近くにがんがあるときには温存せず切除します。また糖尿病や前立腺の手術などがなくても年々、弱くなってと悩んでいる方も多いです。治療としては現在、バイアグラに代表される効果のある薬があるので使用している方が沢山います。このお薬は現在ではとても安全な薬であることがわかっていますが、それでも過去、心筋梗塞・狭心症などあった方は絶対飲んではいけないお薬です。それ以外では敷居が高いですが、特殊な薬を陰茎に直接注射する方法もあります。さらに、昔からある治療方法ですが、最近、日本製として新たに出現したビガー2020(Vigor2020)があります。これは透明な筒状の容器に中に陰茎を入れて、その容器についた管から空気を吸引して容器内を陰圧にすることで、陰茎を膨らませる器械です。いつも陰茎の代わりに自分の親指を入れて説明していますが、瞬く間に親指が真っ赤になり腫れぼったくなります。これを定期的に繰り返しリハビリをするのと、陰茎の根っこに専用の太い輪ゴム状のものをつけておいて、この容器で陰圧にすることで勃起状態を維持し、性交も可能となります。バイアグラなどの薬は心臓が悪い方は使えませんのでそういう方にも良い治療です。一セット約10万円しますが、高い薬・注射よりは良いかもしれません。