新書を出版しました

Dr. Ohori

新書を出版しました

自分で、本を沢山出したという実感はないのですが、今回11冊目の本を出しました。祥伝新書からだした「ロボット手術と膀胱がん・尿管がん 」です。過去の10冊は全て前立腺がんの本でした。医師向けの本が5冊、一般読者向けが5冊です。本を出したいと思うのは自分の得意分野ですし、本を出しませんかという話になるのも、そういう分野です。米国で何千人も実施してきた前立腺の超音波の本が2冊、手術の本は医師向けは2冊、一般向けが3冊、前立腺全般に関わる医師向けが1冊、一般向けが2冊という内訳です。一般向けの本は、患者さんから時々、「わかりやすかった」「手術を受けたがこの本の通りだった」など直接、外来で評価を頂くので嬉しいですし、やりがいも感じます。また責任も感じます。余程、何万部も売れない限り、儲かることはなく、むしろ個人あるいは病院からの持ち出しになるのですが、病気を理解して頂いたり、病院としてこういうことをやっていますというお知らせの意味でも大切だと思っています。折角書いたのに多くの方に読まれずというのはあまりに情けない話ですの、大堀病院で手術を受ける方や治療方法を悩んでいる方に手持ちの本を贈呈しています。外来では頑張って丁寧な説明をしているつもりですが、実際は長い時間は取れず不十分なことが多いので、後はこの本を読んでくださいというところもあります。

今回の主題の膀胱がん、尿管がんは泌尿器科の中で前立腺がんに次いで多い病気です。早期の前立腺がんは診断時に治療の選択肢がいくつもありますが、膀胱がん・尿管がんは基本は手術しかないので一見わかりやすいのですが、特に膀胱がんは再発が多いし、最終的に泌尿器科の中で最も大きな手術である膀胱全摘+尿路変更(尿の通り道を作る)が必要なので、患者さんにとってもどういう状態なのか、これが良い治療方法なのかという疑問が出てきます。特に膀胱全摘をする選択は大きい・厳しい選択ですので皆さん悩みますし、勧める医師側も悩みます。一方で、時期を逃すと生死に関わる問題なので必要となったら、必要と言わざるを得ません。他の病院で「膀胱全摘が必要」と言われてセカンドオピニオンで来院される方もいますが、他の病院での治療方針が違うと思ったことはありません。ですので「厳しい手術ですが、命を守るためですから検討されて下さい」という話になります。こんな背景から、中々、完璧に理解して進むというのは難しいですが、少しでも病気の性質・治療方法の中身を理解して頂ければと、本にしてみたという次第です。理解してもらいたいがために詳しく説明しだすと、逆にわかりにくくなるというジレンマを感じながら書きましたが、膀胱がん・尿管がん(腎盂がんも含む)と診断された・されようとしている方には是非読んで頂きたいです。

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