前立腺がんはさらに増えていく

Dr. Ohori

前立腺がんはさらに増えていく

医学の雑誌の中で有名な雑誌ランセットに、英ロンドン大学がん研究所からの報告で2040年までに前立腺がんの年間の診断数が全世界で現在の約2倍になり、さらに前立腺がんによる年間死者数は85%も増加するとの報告があったとするニュースがありました。 現在、日本人男性では肺がん、胃がん、大腸がんに並び前立腺がんは最も多いがんですが、今後、他の先進国と同様に増えていく可能性があります。日本で過去、劇的に前立腺がんが増えた理由は食事などの西欧化もありますが、一番は診断のきっかけになる血液検査のPSAの普及にあります。昔はPSAがなかったので、前立腺がんの骨への転移のための痛みが出て初めて病院へ行き診断されることが多かったのですが、現在は人間ドックや検診などでPSAが少し高いことを契機に早期がんで発見されることが大多数となりました。昔から、前立腺がんは肺がんや膵臓がんと違い成長がゆっくりだから、慌てて治療しなくても良いという概念がありました。しかし、今後は100歳時代になりつつあり、さらに前立腺がんが増えるとのんびりしたことも言っていられなくなります。日進月歩で治療も進化していますので将来は夢のような薬が出てくるかもしれませんが、現時点では早期発見・早期治療に優るものはありません。50歳になったら一度はPSAを測定して欲しいですし、父親や家族に前立腺がんのかたがいる場合は45歳で一度採血して欲しいと思います。

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