ロボット手術2000例達成!

Dr. Ohori

ロボット手術2000例達成!

2019年4月に開院依頼、泌尿器科・婦人科の専門病院として、また特にロボット手術を得意とする病院として成長してきました。泌尿器科は前立腺がん、婦人科は子宮筋腫を中心とし多くの方を担当してきましたが、今回、全て合わせて2000例を達成しました。ある統計によると泌尿器科・婦人科のロボット手術は神戸の病院についで全国2位だそうです。若手医師が手術を始める前の必要な条件として手術見学がありますが、当院は数少ない見学施設に認定されており、過去、多くの若手医師に見学してもらいましたので、泌尿器・婦人科ともに教育にも大きく貢献しています。もともと2000年に米国でロボット手術が始まった後、最初に普及したのは泌尿器科、その後婦人科、その後は消化器外科などに広がりました。泌尿器・婦人科に共通なのは狭い骨盤内の臓器の手術のために、ロボットの利点である視野の良さが最も生かされる領域であったことです。

 泌尿器科は前立腺、膀胱、腎、副腎などのがんは全てロボット手術が適応となっており、また結石は内視鏡手術、前立腺肥大症も各種内視鏡手術が主体ですので、お腹を開ける開腹手術は稀なものになりました。今後もさらに種々の病気に対してロボット手術が用いられる様になると思われます。

 安全で、出血も少なく、手術後の疼痛も少ない、繊細で機能を残せる素晴らしい手術ですが、あえて問題点を言えば、コスト高の問題です。ダヴィンチ手術機器以外にも競争相手が出てきたので以前よりは少し安くなりましたが、それでも導入時はX億円、年間の保守料もX千万、ロボット専用の鉗子(切る、つかむをする器具)も高い、など保険点数(病院の収入)に見合わない状況で、へたをするとロボット手術を頑張れば頑張るほど赤字となってしまいます。このことで多くの中小病院はロボット手術導入を躊躇します。一方で多くの外科系の科はロボット抜きには考えられなくなっていますので、外科系医師に病院にとどまってもらうためにはロボットを入れなくてはと考えている病院も多くあります。それでなくても外科系医師、特に消化器外科、が減少傾向ですから、近未来、救急もそうですが、簡単に手術ができない状況になってしまうのではないかと危惧します。ロボット手術により、入院期間は短くなり、出血も少ない、その他の合併症も少ない、コスト面をしっかり計算すれば間違いなく、従来の手術よりコストは抑えられていると思います。患者さんにとって良いことが普及するのが間違いなく良いことですが、そのことで病院が苦しくなるというジレンマは何とか解決して欲しいと思います。

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