日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会、日本慢性期医療協会、全国自治体病院協議会の6病院団体は2025年9月10日に厚生労働大臣に「緊急要望」を提出して(1)2025年度補正予算において、1病床当たり50万円から100万円の緊急支援策を講じること、(2)2026年度診療報酬改定率で10%超の引き上げることを要望しました。 いわゆる一時金と全体的なUPをセットでという要望です。私を含めて多くの医療関係者は、要望を出したことは良いことと感じる一方で、不十分な弱い要望とさえ感じていると思います。社会保障費の上限が叫ばれる中で、これくらいでーという控えめな要求なのだと思います。一方でこれに応えてくれるはずの政治はどうでしょうか?当初、高市政権となり医療の現状が厳しい、何とかしなくてはという見解がだされましたが、「4兆円削減」を主張する維新と一緒になり、トーンダウンし、せいぜい少しの一時金で終わるのではないかという観察があります。現場感覚からすると10%UPで一息つく病院はあるとは思いますが、不十分です。これでは高騰する人件費・設備費・消耗品・電気代を賄うのは無理です。医療は国が決めた保険点数で病院の収入が決められていますので、病院が勝手に価格転嫁はできません。どんなに良い医療を提供するよう努力しても(努力しなくても)価格は同じです。自由度が全くないにも関わらず、時代に合わせることをせず見殺し状態にするのは訳がわかりません。見殺し状態のままにして余っているとされる病床数を大幅に減らすつもりだろうとも囁かれていますが、そんなことを続ければ医療全体が疲弊して立ち直れなくなります。医療崩壊を避ける1番の方策は、まず当たり前の正常な価格転嫁を国がすることです。「削減」を強く主張する議員は若く改革志向であることは良いことだと思いますが、病院に行ったこともなく、健康の大切さも実感することもないような人たちに見えるのが気になりますが。。