「医療崩壊」を避ける③医療安全保障

Dr. Ohori

「医療崩壊」を避ける③医療安全保障

 医療における収入は国の判断に委ねるしかないですが、一方で我々医療関係者が努力しているのは支出の削減です。同様の質であれば価格の安い消耗品を使う、節電、医療ゴミを減らす、残業を減らすなどなど、当然ですが最大限の努力をしています。しかし、努力ではどうにもならない部分があります。医薬品の多くは外国製です。また医療機器の60%は外国製で欧米・中国などからの輸入です。また抗生物質などの多くの薬剤のもとになる原薬の80%は中国からきます。インドからの輸入もありますが、インドももとは中国からの輸入に頼っています。レアアースと同じような状況です。

 これはもう、中々、現状を変えられない状況ですが、少しずつでも改善すべきと考えます。我々の使用している手術用のロボットは米国製ですが、同じレベルの質を持つ日本製(HINOTORI)があります。これは導入費用は低いですが、運用費も30%は低く抑えられるとされます。安全で同じ質で価格が低ければ病院も助かりますから使わない手はありません。これは典型的ですが、他の医療機器・消耗品ももっともっと日本製が出てきてくれることで支出が抑えられますので期待したいところです。

 外国製の薬剤・医療機器が多いことでの他の問題もあります。物流・関税・輸送リスクなどの問題で、最近、「この薬剤がない、この消耗品がない」ということが増えてきました。一気に解決はできませんが、食料自給率と同様に医療も「医療安全保障」的な発想は必要で地道に改善していくべき分野です。

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