確かに今後は病院の統廃合は必要だと思います。 うまく統合して人と資金を集中するところには集中し、特に地方では、バランス良く配置する必要があると思います。いわゆるM&Aは米国では盛んだと言われます。 米国ではコロナで患者数が激減し、厳しくなった病院・クリニックが大手の保険会社により買収・統合される傾向が出てきました。我々には想像しにくいですが、その保険会社の保険に入って初めて関連の病院を受診できる仕組みです。保険会社も保険料を払える患者の抱え込みを目指し、また、極めて高い人件費を払う現場も生き残りをかけたM&Aです。 日本と米国では医療のシステムも大きく異なりますが、米国では現場の医師・看護師・技師さんなど医療関係者の給与などの働く環境を犠牲にして維持するということは成り立たないと思います。一方で日本は良くも悪くも我慢強く、厳しい環境下でも環境を変えようというよりは現場でまず頑張ろう・凌ごうという意識が強いと思います。しかし、今後は現場の力だけではどうしようもできない時代に突入しています。日本もM&Aの民間会社が動いていますが、米国ほどではありません。またM&Aと言っても苦しくなった古い病院の土地・建物・病床の権利を少し資金力のある大手の医療法人にうまく継承させることを主としていますが、自らが資金力の背景を持って、医療再編に寄与するということではありません。本来は行政が、申請されたものを審査・許可するといった上から目線ではなく、自ら医療再編の方向性を示して各病院を意思疎通を図っていくものと思います。 米国では病院の運営形態として58%が大学・財団などが経営する非営利経営とされます。これらに大きく貢献してるのが大企業からの寄付です。以前、ブログにも書きましたが、1999年から4年間、ニューヨークのスロン・ケタリング記念がんセンターに勤務していました。そのがんセンターへ米国の繊維メーカーのSidney-Kimmelが寄付をしてマンハッタンの68丁目に立派な前立腺診断センターを建ててくれました。私はそのセンターの副所長をしていましたし、私の給料はその企業から出されていました。このようなことが全米各地で起きています。企業が運営に携わるというよりは建物・一部給与・新規機械類に寄付という形で寄与し、社会的な貢献をするとともに節税をしています。このシステムは日本でも活かすべきだと考えます。現在、ガソリン税をなくす大詰めで代替えの資金源が話し合われているようで、その中の議論に法人税が低いので少し上げてということもあるようです。今後、企業が病院に寄付しやすいシステム・企業などからの資金を集め、M&A・病院再生にうまく使っていくようなシステム構築も「医療崩壊」回避の一案だと思います。