米国の医療:いつまでも外科医は手術をする

Dr. Ohori

米国の医療:いつまでも外科医は手術をする

米国の外科系の医師は自分でクリニックを開業しても手術を継続することが多いです。一方で日本は40歳〜になると大学病院や中小の病院を辞め、手術をやめてしまうことが多いです。本来は経験を積んで、これからという時に辞めてしまうので非常にもったいない話で外科系医師が少なくなっている日本では今後検討すべき課題ではないかと思います。米国では日本の様に医師が病院に雇われているのではなく、独立した専門職として契約をします。手術するためには1)州の医師免許、2)専門医資格、3)病院での手術権限、を得る必要があります。手術して良いという権限は、病院ごとにことなり、「この医師にこの手術を許可する」という形で年1回更新され、実績や合併症、クレームなどで審査されます。いくつかパターンがありますが、1)自分のクリニックを持ち、大学病院などで手術をし、場合によっては教授職(無給)をこなしたりします。2)地域の中堅の病院との契約で手術を定期的に実施、3)複数の外科医でグループを作り、手術をする病院と包括的な契約をする、などです。基本的に病院は場所と機器を提供するだけです。お金の動きも全く違います。米国では保険会社が強大な力を持っており、保険会社が医師分と医師に、病院分を病院に分けて支払います。日本でもクリニックの先生が関係のある病院で手術することは可能です。しかし実際はほとんど行われていません。まず、そういうことをサポートする経済的な環境にありません。それでなくても、いわゆる手術料が安いので病院と医師でお金を分け合う余地もありません。医師側も半日〜1日費やしても僅かにしか給料が入らないのであれば自分のクリニックで働いた方が良いと考えるのも当然です。米国の良くないところを真似する必要はありませんが、この開業医がストレスなく近隣の病院で手術できるシステムは何とか、一部でも取り入れられれば、外科医の減少や医師の偏在を少しでも改善できるのではないかと思います。

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