格差とコロナ

Dr. Ohori

格差とコロナ

コロナもまだまだスッキリしませんね。東京も50人台が続きイヤな雰囲気です。一方でアメリカもまだまだ光が見えていません。私が住んでいた南部、テキサス州のヒューストンも増加傾向とか。カンファレンスで出かけたことのあるチルドレン病院もコロナ専用になったとか。計9年近くアメリカの臨床を見てきました。訴訟社会だから色々面倒なことはあるのは間違い無いですが、一方で医師としてはとても働きやすい環境だなといつも思っていました。私がいたヒューストンのベイラー医科大学の付属病院であるメソデイスト病院(今は付属病院ではなくなったようですが)は現在、世界一のがんセンターであるMD Andersonがんセンターと道一本の隣にあります。とても立派な病院です。1990年3月に初めて行った時も、「南部にある有名な病院だけど、基本的に金持ち相手の病院」と紹介されました。確かに外来勤務をしていると患者さんは裕福そうで、弁護士、医者、芸能人、政治家も多くいました。日本でも芸能人や政治家が好む病院みたいなことはある様ですが、アメリカほど明確では無いだろうと思います。なぜ、そういう話になるかと言えば、主に医療費の問題です。アメリカでは医療費はとても高額で、その高額をまかなえる保険に入る必要があります。日本の様に皆保険ではありませんから、保険に入れるかどうか、保険のレベルの違いによって受診できる病院も決まってきます。皆保険に慣れている日本人には想像しにくいですが、ある意味、病院は敷居の高い領域です(だから無料や低コストのPSA検診にはすごい数の人がきます)。そんな区別・格差のある世界でコロナ感染の様なことが起きれば結果は見えてきます。良く大統領が演説している場面で大観衆がマスクしていないことを指摘する声があります。確かにそれも大問題です、しかし、もっと問題なのはその会場に来れる大観衆ではなく、来れない多くの人たちです。そういう意味でも日本以上に長引きそうな気がします。

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