新型コロナウイルス肺炎、東京で10人が診断と一時期に比較し明らかに減ってきました。まだまだ油断はできませんが。肺炎だけが病気ではありませんので多くの様々な病気を抱えた方が、この時期に病院に行きたくない、あるいは病院に行くまでに電車に乗りたくないと思うのは当然だと思います。実際、当院でも無料ネット外来の相談や電話再診が増えています。多くの方にとって病院とのアクセスに色々選択肢が広がることはとても良いことだと感じてます。電話再診は既に診断がついてお薬などを定期的に出している方がほとんどですので、電話で症状などを確認してお薬を処方して、患者さんが近くに薬局へお薬を取りに行く、とても便利な方法だと思います。無料ネット外来も「痛みがあるが何が考えられるか?今後どうしたら良いか?」という疑問が中心ですの考えられる原因を説明し、一度病院を受診してみて下さい、という答えになりますので、病気を解決する入り口としては良い方法だと思います。最近ではさらにオンライン診療でコンピュータ・タブレットと専用ソフトを入れれば、初診の方でも受診が可能な時代になりました。これも選択肢が増え、通院途中や病院内での感染を防ぐ方法として意味あることだと思います。当院でもネット外来や予約・電話再診は積極的に実施していますが、初診オンライン診療は決めかねています。それは導入コスト・そのためだけの医師・看護師・事務などの準備の必要性(通常の外来・検査・手術はそのままですので、それ以外の時間を作る必要があります)の問題が中心ですが、さらに患者さんの顔を見ながら症状を聞き、そのニュアンスを感じるのは大切ですが、当然、診察できない、検査できない中で結論を出していく。何かを見逃すリスクも過小評価はできないと感じます。症状を聞いて、結局、受診して下さいとなることが多いので良いのかもしれませんが、症状が軽症なので様子を見て下さいとなった時に「本当に大丈夫か?」という危惧は出てくると思います。1999年にニューヨークのスロン・ケタリング記念ガンセンターに就職し外来で働きました。日本と同様、アメリカも外来で長時間待たされますので患者さんの不満も同様にあります。しかし、診察後は満足する人が多い。それは診察室で医師が患者さんと向き合ってじっくり話す、じっくり診察するからだと思いました。日本の様にコンピュータを見ながら、患者さんの訴えを聞き、電子カルテに入れながら、さらに検査をオーダーして最後に次の外来の予約をしての様な多くの事はやりません。診察が終わるとどこかに電話し症状など必要な事を口述します(それは後で専属の人がカルテに記述します)。検査の予約、次の外来の予約など事務的なことは看護師さん(看護師さんにも色々な区別があり秘書的なことも全てやる人がいます)がやってくれます。要は医師が診療に集中できるシステムだと感じました。その結果として患者さんも長く待たされても、しっかり診療してくれたという満足感があるのだと思います。文化も違い、財政面も全く違いますので米国が良くて日本が悪いということではありませんが、診療に関してはこうあるべきと感じざるを得ませんでした。オンライン診療・電話再診・ネット外来・AI全て便利な方法ですが、当面は、これらは本来の診療を助ける手段と考えるのが良いと思います。これらのことでさらに多忙になって、患者さんの診療時間が少なくなる様では本末転倒だと思います。