多くの医療関係者は当初から、いわゆる「医療崩壊」の可能性は感じていたと思います。現在も現場で頑張っている人が何とか支えてくれていますが。もともと医療の現場はギリギリでやっているところが多く、普段の業務にプラスアルファはとても考えにくい状況です。残念ながら「病気にお休みなない」ので当然、普段から休日・祭日関係ありません。さらに今回問題になった未知のウイルスに対する備えはないと言って良いと思います。連日、テレビに出てくる感染症の専門家の皆さんも何十人といる感染症の医局を代表しているわけではなく、通常、大学でも数人規模の医局であることが多いと思います。私が医師になった30年以上前は基礎で細菌学の講座はあっても臨床で感染症科はなかったと思います。感染症に関してはそれぞれの科が対応していました。ですから30年前に今回のことが起きていればテレビに出てくるのは呼吸器内科の先生であったろうと思います。感染症は日々の臨床でもとても大事な分野で、現在の様に専門家が沢山いることはとても良いことだと思います。「たらい回し」という言葉は以前からありましたが、実は常に医療崩壊に近い状況だということを理解する必要があります。長年、現場の医療関係者が頑張ってきているので何とかなっていますが、今回の様なことは将来も必ず起きますから、現場に強いることがない様なシステムを構築する必要があります。