留学話し2:アメリカン・ドリーム

Dr. Ohori

留学話し2:アメリカン・ドリーム

ほとんどの留学生と同様、最初は英語に非常に苦しみました。留学といってもちょっと変わったスタイルで朝9時ー午後5時まで外来で前立腺の超音波や生検をする係でした。患者と接する立場でしたが通常は技師さんがいるので彼が準備して、その横で超音波の解釈をしたり、生検をしたりでした。ワンパターンの英語は何とか覚えましたがそれ以外は全くという感じで結構、苦しんでいましたが、1年が過ぎたあたりで、オランダから来た留学生と親しくなったりして少しずつ英語の環境にも慣れていきました。仕事上でも、もがいている感じでしたが、地道な仕事が少しずつ実をむすんで学会発表もできるようになりました。2年目の途中で次の年はどうしようと思っていたら、ボスにインストラクターにするから残ったらと言われました。そんなことを言われるとは思ってもいなかったのでとても嬉しかったのを覚えています。その後、自分が中心に作ったデータベースをもとに多くの留学生の論文のネタを提供して、面倒を見る立場になっていったら、4年目にはアシスタントプロフェッサー(日本の講師相当)にしてもらいました。給料も上がり、広大なオフィースを与えられ、看護師・技師・事務の人たちの私に対する態度も劇的に変わり(皆、よく頑張ったわねという雰囲気でした)、「もしかして、これは小さなアメリカン・ドリーム」かもと実感しました。全てはボスのお陰で、今でも人生の師として尊敬していますが、尊敬するボスから認められたという喜びが一番大きく、そのことがその後の人生を変えた大きな活力になっていると今でも感じます。

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