前立腺レクチャー3:超音波検査

Dr. Ohori

前立腺レクチャー3:超音波検査

現在は前立腺の画像で診断ではMRIが全盛期です。確かにMRIは前立腺の中の構造を良く見ることができます。しかし、長年にわたり超音波が最も有効な方法として用いられてきました。もともと1970年頃に東北大の先生たちが超音波の器械を肛門から入れ、開発したところから初まります。画期的な発見・開発だと思います。その後、東北大の先生のお一人が京都の大学に主任教授として移られ、私も米国に留学する前に勉強にいかせてもらいました。前立腺は骨盤の一番深いところにありますが、肛門からは近く、超音波の器械を入れるとすぐのところに前立腺がありますからとても良い画像が得られます。初期には椅子型の器械でした。椅子の真ん中が空いていて超音波のプローブという細い棒状のものが出てきます。患者さんは自分で肛門の位置を調節していました。ベッドに横になり足を抱え込む様な姿勢で、医師がプローブをゆっくり入れます。昔はかなり太いプローブで挿入する時に軽い痛みがありましたが、今はだいぶ細くなったのであまり痛むことはありません。検査は通常数分で終わり、前立腺の形、大きさ、がんの疑いの有無、炎症の有無などがわかります。肛門から入れられる不快感は多少あるかもしれませんが、得られる情報も多く、また簡便ですぐできるとても良い検査だと思います。1990年に米国ヒューストン市のベイラー医科大学へ留学した際には義務としての仕事が朝から夕方までこの超音波をして前立腺の所見のレポートを書くことでした。さらにがんが疑われる人は超音波を見ながら針を何箇所も刺して検査する針生検をする必要があります。1日に10件以上やっていましたので4年間で何千と実施しました。その当時は下手な英語で対応しなかればなりませんでしたし、毎日大変でしたが、現在でもこの何千とやったことが自分の中で生きていると時々感じます。今は直腸診もしない、超音波もしない若い先生が増えてきましたが、これらから得られる情報はとても多く重要で、さらにMRIをすることでかなり正確に現状を把握できるものと思います。 当院ではMRIでがんを疑う所見があれば、その疑う所見を超音波に反映させるUroNavというシステムを使っていますが、これで正確に診断がつきます。MRI全盛時代と言っても超音波なしではうまくいかず、いまだにとても大切な検査です。自分自身も軽度!の前立腺肥大症があります。自分で自分の肛門にプローブを入れて検査というのは不可能ではありませんが、かなり「ヤバイ」姿になるのでやっていません。いつかは優しい感じ若い先生にやってもらおうかとも考えています?!

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