前立腺レクチャー4:MRI

Dr. Ohori

前立腺レクチャー4:MRI

今や前立腺がんの診断にはなくてはならない存在になりました。もともと前立腺の内部構造を見るにはMRIが最も良い画像でしたが、最近ではますます進化すると同時にPI-RADS(Prostate Imaging-Reporting and Data system)と言う画像を評価するスコアが米国や欧州の放射線科医を中心に作成され、利用され始めたことでますます広がりました。MRIは造影剤を使用する場合は注射をしますが、造影剤がなくても一回の検査で様々なタイプの画像が得られ、その画像の中で前立腺がんを疑う場所が白く写ったり、黒く写ったりで疑いのレベルを5段階で表示します。通常は1、2はがんの疑いは極めて低い、4、5は疑いが強い、3は疑いはあるが4、5ほど強くないと言う意味で使用します。ですから血液検査のPSAが高くてさらにMRIで4、5と言われる様な疑いの場所があれば、強く針生検をお勧めします。逆にPSAの値もそれほど高くなく、MRIで全く異常がなければすぐに針生検はせずに、PSAを数ヶ月後に取って行きましょう、で終わることもあります。また、MRIでは比較的小さい領域も疑いで表示されますので、当院でやっている様なMRIの画像を超音波に反映させて、そこを針生検することで精度を上げる方法もとても良い方法です(UroNavシステム)。しかし、MRIも完璧ではありません。3年前、米国の泌尿器科学会へ出席しましたが、MRIを検討するセッションで、放射線科医の先生が「MRI を信じすぎちゃダメだよ」とかなり強い調子で発言していたのが印象的で、放射線の先生が言うだけに説得力はありました。確かにMRIの所見は頼りになりますが、個人的には直腸診、超音波、PSAの値、MRIで漏れのない良い診断ができるものと思います。また、MRI をみてくれる放射線科の先生の実力も様々です。放射線科の先生は頭から爪先まで見なければならないので大変ですが、その中でも得意・不得意があり、必ずしも前立腺が得意とは限りません。当院では前立腺を専門でやっている放射線科医の先生にお願いしていますが、一般的な他の施設でのMRIの所見と専門の先生の所見は異なることも良くあり、ほとんどが専門の先生の所見が当たっています。専門性の大切さを痛感します。PSAが高いと指摘された方は担当の先生に言ってMR Iを一度は受けるべきと考えます。

今どきの検査
生検時にMRIの異常部位(黄色)を確認しながら生検する。

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