アンデシユ・ハンセンというスウェーデンの精神科医の著書「スマホ脳」(新潮新書、久山葉子訳)は示唆に富んでいます。私たちは1日に2600回以上スマホに触り、平均して10分に1回はスマホを手にとっているそうです。さらに3人に1人は夜中にも1度スマホをチェックしているとのことです。こんな数字を聞いても驚かないですよね。この本では人類の進化を説明しながらスマホの現状も説明しています。もともと我々の脳は新しもの好きで、スマホを見るたびに新しい、魅力的な情報を探しています。しかし、結果的にはスマホで集中力を失っていく様です。デジタル化は人類が経験した中で最も大きな社会変革で、私たちが見ているのは「ほんの始まり」に過ぎないだろうとこの本では推測しています。確かに自分のコンピューターの関わりを振り返っても、30年前、米国で研究生活をした時、初めてマックを買いやっていた内容を、今では小さいスマホで何十倍の量をあっという間にできています。また、30年前にはベイラー医大の研修医・研究員たちは自慢げに小さな鞄サイズの電話を持っていていました。また、その後はビーパー(ポケットベル)をスボンのベルトや白衣のポケットに差込、病院から連絡があるとビーパーが鳴り、そこに相手の電話番号を表示されて電話を折り返しかけていました。日本でも同様にポケットベルに番号や短いメッセージが表示されていました。今や、全てがスマホが解決してくれます。この便利なものを人類は手放すことはもうできないと思いますが、確かにたった数十年の変化で、これからますます便利になり、効率的になっていくでしょう。このことで人類は集中力を失い、理解力も、幸福感も減退していく。特に子供は問題です。アップルの創始者ジョブスも他のIT長者の多くも自分の子供達にはスマホを持たせない、時間を制限しているそうです。彼らこそスマホの弊害を十分理解している証拠ですね。ニュースでは児童一人一人にタブレットを渡してーと自慢げに話していますが、多分、これは大きな間違いでしょう。コロナの影響で大学に入学した学生が一度も大学に行かず、リモート講義を受けている。仕方がない状況ですが、これも不幸なことです。夏休み・冬休みには電波の届かない田舎に行くことで本来のリラックスになるのではとも感じますー中々、実現は難しそうですが。