巨大腎結石への挑戦
- 研究報告
巨大な腎結石患者の症例
通常7mm以上の結石は自然排石が難しいと言われている。
巨大腎結石という定義はないが、2cmほどの結石は巨大といってもよいのではないだろうか。
当院における、巨大腎結石の治療の流れを画像とともに紹介致します(患者様の了承は得ております)
腰痛を主訴に前医を受診され、精査をしたところ右の腎臓に大きな結石(図1・2)を指摘されて紹介受診されました。
泌尿器科学会の推奨治療としては20mmを超える腎結石の場合には結石や患者の状況に応じて、ESWLやf-TULも適用可能ではあるが、これらの単独治療は困難であり、PNL(経皮的結石破砕術)が推奨されています。
今回、患者様は時間はかかっても良いので、出来るだけ侵襲の少ない(身体への負担の少ない)治療を希望されました。
当院での腎結石手術
まず、結石の治療に先立って、経尿道的尿管ステント留置(図3)を行いました。
手術(TUL)の前に尿管ステントを留置することにより、尿管が拡張し手術が行いやすくなることともに、術後の尿路感染症のリスクを軽減することが期待されます。
尿管ステントが入っていることにより、排尿時に違和感を訴える患者様もおりますが、日常生活に支障はありません。
当院では午前入院、当日午後に麻酔下に尿管ステント留置を行い。
翌日の午前に退院となる、1泊2日のスケジュールで行っております。
尿管ステント留置してから約1ヶ月後
尿管も十分に拡張したと考え、TUL(経尿道的結石破砕術)1回目を施行しました。当院では前日入院していただき、翌日、全身麻酔下にTULを行います。(図4) 術後2日目に退院と、3泊4日のスケジュールで行っております。ほとんどの患者様が術後、発熱などなく元気に退院されております。
図4のレントゲン写真ではほとんど割れていないように思われるかもしれませんが、実際には微小に割れた破片が集積して1つの石のように見えております。
初回のTULからさらに1ヶ月後
2回目のTUL(図5)を施行しました。レントゲンの画像ではまだ大きな結石が残存している様に見えますが、実際の内視鏡(カメラ)画像(図6)ではバスケット鉗子(ワイヤーが1cmまで広がって、結石を回収する装置)でつまむことが出来ないほど小さな破片にまで破砕できております。
今回の入院も3泊4日で前回のTULと同じく、元気に退院されております。
2回目のTULをしてからさらに1ヶ月後
尿管ステントを外来にて抜去。
そのさらに1ヶ月後(図7)には2cmほどの巨大結石は跡形もなく消失しました。
今後、結石の再発がないように栄養指導をし、その患者様は無事、フォロー終了となりました。
当院では巨大な結石も可能な限り患者様の希望を優先して治療に取り組んでおります。
ご相談お待ちしております。