泌尿器科 ロボット支援手術 Urology
当院では手術支援ロボット「da Vinci -ダビンチ-」によるロボット支援手術を推奨しております。
ロボット支援手術の大きなメリットは、身体的な負担が少ない腹腔鏡下手術の特長を生かしながら、
人の手による手術の問題点をロボットの機能で克服できるという点にあります。
現在国内では800台以上が稼働、前立腺全摘除術だけで年間27,000件以上の多くの実績があり、
特に保険収載された「ロボット支援前立腺全摘術」や「ロボット支援腎部分切除術」などの
泌尿器科ロボット支援手術は、日本国内で急速に普及をしております。
手術支援ロボット「da Vinci 〜ダビンチ〜」の特徴
3Dによる鮮明な視野
3Dカメラで体内を立体的に映し、最大約10 倍のズーム機能により、手術者は患部を拡大視野でとらえることが可能です。
精密・繊細なロボットの手
360°回転が可能なロボットアームの様々な形状の鉗子は人間の手以上の可動域があり、繊細な操作が可能です。
正確な術操作の伝達
高い集中力が必要な緻蜜な手術において、手ぶれ補正がされた正確な動作をロボットアームへ伝達することができます。
ロボット支援手術における患者さんのメリット
- Merit 1
身体への負担の少ない低侵襲手術
- 開腹手術と比較して『傷口が小さい』『痛みが少ない』『出血量が少ない(輸血量1%以下)』『回復が早い』
- Merit 1
- Merit 2
回復が早く、入院期間が短い
- 傷口が5~12mm程度とても小さいため、回復が早く、 入院してから10 〜 14日程度退院ができます。
- Merit 2
- Merit 3
尿失禁の回復が早い
- 術後早期は尿取りパッドが必要なことはありますが、術後3ヶ月で77%、6ヶ月で91%、12ヶ月で97%が回復します。
- Merit 3
- Merit 4
性機能の温存効果が高い
- 術後5年までに両側の神経温存で70−80%。片側温存で40−50%の割合で性機能が回復します。
- Merit 4
- Merit 5
高い安全性と確実性
- 肉眼より正確な3次元の立体画。狭い範囲でも360°自由に器具を操作でき、人間の手以上の複雑かつ繊細な手術が可能です。このため直腸損傷などの合併症も極めて稀です。
- Merit 5
ロボット支援前立腺全摘手術の流れ
手術の概要
- 入院期間:10日間*
- 全身麻酔
- 手術時間:2〜4時間
- 保険適用手術
1.手術前に行うこと
- 診断の確認(針生検・画像の確認)
- 他の大きな病気の確認
- 内服薬の確認
- 手術前検査:心電図、呼吸機能検査 / 胸部・腹部X線写真 / 採血(感染症など)
※必要に応じて内科医や麻酔科医と相談
2.入院から退院まで
- 手術日前日に入院していただきます。
- 入院後、担当医と看護師より手術の説明があります。
- 手術日は午前9時あるいは午後1時から手術を行います。 ※手術の流れは下記をご参照ください。
- 手術時間は約2時間、リンパ節処理の場合は約3〜4時間
- 手術当日はベッド上で過ごしていただき、手術翌日から歩行可能です。
- 手術翌日から水分摂取可能となり、翌々日から食事摂取可能になります。
- 手術後6日目に尿道に入った管を抜きます。
- 数日、排尿状態を確認し退院になります。
*入院期間について
現在平均10日間の入院となっております。10日間が一番余裕もあり良い日程と思われますが、お仕事などのため、さらに短い期間でとのご希望があれば担当医にお尋ね下さい。工夫により8日間まで短縮できる可能性はあります。
また、3泊4日の超短縮日程も可能ですが、その場合には種々の条件下の元で可能となります(リンパ節処理が必要のない早期がん、以前にお腹の手術を受けていない、退院時には尿道カテーテルを装着のまま退院し、数日後に外来にて抜くことを許容できる、などです)。
手術の流れ
- 前日入院
- 全身麻酔
- 6個のポート挿入
- 30度頭側を下げる
- 手術実施
- 尿道へ管を挿入
- 手術終了、麻酔終了
- 病棟へ移動
- 約6日後、尿道の管を抜く
- 数日、排尿確認し退院
身体への負担の少ないロボット支援手術
ロボット支援手術では、腹部に計6個の小さい穴を開けて、特殊な鉗子を入れます。※鉗子はロボットの腕(アーム)と繋がっています。
従来の手術のように大きく切開する必要がなく患者さんの身体への負担が少なく、回復が早いのが特徴です。
3.退院後について
- 約1ヶ月後に外来で摘出した前立腺の病理結果を説明します。また定期的にPSA血液検査を行います。
- 最初は1ヶ月ごと2回、その後3ヶ月ごと数回、問題なければその後は6ヶ月ごとを最低5年後まで実施します。
- 退院後、生活上の大きな制約はありませんが(テニス、ゴルフも可能です)、
手術後3ヶ月は激しい腹筋運動は避けてください。 - 飲酒も可能ですが過度な飲酒は避けましょう。喫煙者はこれを契機に禁煙にチャレンジして下さい。
- 手術後、便秘傾向になる時はお薬で調節します。
- 手術後のPSA値の下りが悪く、一旦下がった後に再上昇するなどの場合は追加の治療が必要な場合があります。
当院ではロボット支援前立腺全摘手術を受けられ退院される患者さまへ、
術後に多く寄せられるご質問内容をまとめた冊子をお渡ししております。
ご覧になりたい方はこちらからダウンロードができますので、お気軽にご利用ください。
参考文献
- Ohori M, Scardino PT et al. Ultrasonic detection of non-palpable seminal vesicle invasion: A clinicopathologic study. Br J Urol 1993;72:799-808.
- Ohori M, Scardino PT. et al.The pathologic features and DNA ploidy value of prostate cancer detectable by sonography and by palpation. Prostate 1993; 3(4):271-81.
- Ohori M, Scardino PT,et al. The mechanisms and prognostic significance of seminal vesicle involvement by prostate cancer. Am J Surg Pathol 1993;17(12):1252-61.
- Ohori M, Egawa S, Scardino PT, et al. Detection of extracapsular extension prior radical prostatectomy. Br J Urol 1994;74:72-9.
- Ohori M, Wheeler TM, Scardino PT. The new TNM classification of prostate cancer: Pathologic features of cancers detected by PSA alone (T1c). Cancer 1994; 73:104-114.
- Ohori M, Scardino PT, et al. 1994.Can radical prostatectomy alter the progression of poorly differentiated prostate cancer ? J Urol 152:1843-9.
- Ohori M, Wheeler TM, Dunn JK, TA. Stamey TA, Scardino PT. Pathologic features and prognosis of prostate cancers detectable with current diagnostic tests. J Urol 1994; 152:1714-20.
- Ohori M, Wheeler TM, Goto Y, Scardino PT. Prognostic significance of positive surgical margins after radical prostatectomy. J Urol 1995;154:1818-24.
- Ohori M, Dunn JK, Scardino PT. Is PSA density more useful than PSA levels in the diagnosisof the prostate cancer? Urology 1995;46:666-71.
- Ohori M, Scardino PT, Lerner SP, et al.Pathological features and prognostic significance of prostate cancer in the apical section determined by whole mount histology. J Urol 1999 ; 161(2):500-4.
- Ohori M, Kattan MW, Scardino PT, et al. Do impalpable (T1c) cancers visible on ultrasound differ from those not visible? J.Urol 2003;169 (3):964-8.
- Ohori M, Kattan M, Scardino PT, et al. Predicting the presence and side of extracapsular extension: A nomogram for staging prostate cancer. J. Urol. 2004;171(5):1844-9.
- Ohori M, Kattan MW, Tachibana M, et al. A nomogram to predict seminal vesicle invasion using the status of cancer at the base of the prostate on systematic biopsy. Int J Urol. 2010;7(6):534-40.
- Tanaka A, Ohori M, et al. External validation of preoperative nomograms predicting biochemical recurrence after radical prostatectomy. Accepted to Jpn J Clin Oncol 2013;43(12):1255-60.
- Takizawa I, Ohori M, et al. Pathologic and prognostic outcomes with very-low and low risk prostate cancer of NCCN guideline in Japanese patients with radical prostatectomy. Journal of Cancer Therapy. 2016, Journal of Cancer Therapy, 7, 239-246
- Kamoda N, Ohori M, et al. Prognostic significance of the presence of tertiary Gleason grade 5 in robot-assisted radical prostatectomy specimens in Japanese patients with clinically localized prostate cancer.Jpn J Clin Oncol. 2019 Mar 1;49(3):276-280.
- Mima T, Ohori M, et al. Salvage radiation therapy for prostate cancer patients after prostatectomy. Jpn J Clin Oncol. 2019 Mar 1;49(3):281-286.