性感染症(STD)について
性感染症(STD)とは
性行為により感染する感染症の一種です。性行為中 粘膜の接触や体液・血液にふれることによってうつることになります。症状が出にくいものもある為、感染してもすぐに気付かないでいると、大切なパートナーにうつすことになりかねません。
何より体がむしばまれていき、不妊の原因となることもあります。
誰にでも関係のある病気です
性行為は私たちが生きてゆくための大切な行為です。だからこそ私たちの誰にでも関係のある病気です。たった一人の相手でも過去のパートナー、さらにそのパートナーが感染していれば、感染の可能性はあります。当たり前ですが、たくさんの人とセックスすればリスクが上がります。自分はリスクが高いか低いのか考え、コンドーム等を使って予防することが大切です。
もしかしてって思ったら検査を受けましょう
性の衝動は人間の本能で本質的なものなのです。完全に予防することはむずかしいので、子宮がん定期検診等のオプションとして定期的な検査をお勧めします。もしかして?と思ったら迷わず検査を受けましょう。
性感染症の種類と治療について
性感染症は20種類くらい知られていますが、主な性感染症を感染率のリスクの高い順番で並べてみました。
感染症のなかでも、上記の表で赤字のHPV・B型肝炎・ヘルペスについては、感染したことがわかってもすぐに対処できないウイルスです。病気そのものを治療できなかったり、自然に治ったりすることもあります。黒字のウイルスや菌は早めに見つけて検査を受け対処すれば、治療可能となります。
HPV(ヒトパピロマウイルス)
HPV自体は成人女性の生涯に一度は感染するごくありふれたウイルスです。性経験のある約80%の女性に感染経験があるとされています。感染しても自然に治ることがあります。ウイルスを発見してもすぐに何かが起きることはありませんが、現時点で根治する治療する方法はありません。HPV感染が持続すると子宮頸がんの原因になります。感染前なら一部のHPVはワクチンで予防できます。セクシャルデビュー前にワクチンの接種をお勧めします。
性器クラミジア
クラミジアはコンドームをしないセックスの感染が半数以上といわれております。感染率の高さと症状が出にくいことから、あなた自身が感染源となって知らず知らずのうちに感染を拡大させてしまっている可能性もあります。普通は無症状ですがおりものが増えた、外陰部が腫れている、排尿時の軽い痛み、セックスの時に軽い痛みがあります。放置すると卵管炎・不妊症・子宮外妊娠・腹膜炎などの病気を発症します。また粘膜の炎症により他のSTDへの感染リスクも高まります。もしかしらたと思ったら検査を受け、確定診断されたら、抗生剤投与で根治が可能ですので、医師の指示に従って治療を行ってください。
B型肝炎・C型肝炎
多くは輸血や出生時に母親から感染していることが多いです。肝臓に感染して肝炎の原因になります。B型は感染してもほとんど治ってしまいます。C型は70%ほどが治らずに持続感染します。放置すると肝臓がんになる可能性が高いです。
いずれも性交渉で感染するリスクは1%以下と低いです。ご自身もしくはパートナーがキャリアの場合はコンドームをつけて行ってください。
性器ヘルペス
口のまわりに出来る1型「口唇ヘルペス」と性器や肛門のまわりに症状が出る2型「性器ヘルペス」があります。かかって当たり前という身近なウイルスです。
感染すると外陰部がただれて潰瘍になります。しばらくすると潰瘍は治りますが根治しているわけではありません。一度感染すると体内に潜伏し、免疫が低下した時に再び神経節から皮膚に移動して発症します。いつ再発するかわからないので不安を抱え、日常生活に支障をきたすことがあります。抗ヘルペス薬で症状を抑えることが可能です。医師にご相談ください。
淋病
子宮に感染しますが女性は症状はあまりありません。感染が進むと腹膜炎の原因になることがあります。感染力は強く一回の性交渉でも感染することがあります。一般的に女性は感染しても無症状の場合が多く、感染源となることがあります。抗生剤で治療可能です。もしかしてって思ったら早めに検査を受けてください。
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)
1万人に1人以下の感染率です。男性が大半を占めています。放置すれば命にかかわる病気です。免疫力が低下して、健康な人であれば問題になることのない感染症を発症させ、悪性疾患を引き起こします。
早く見つけて適切な投薬など対処することで、AIDS(後天性免疫不全症候群)の発症が抑えらます。近年HIVで命を落とすことはほとんどなくなりましたが、専門の医療機関で治療することをお勧めします。
以下に該当する方は定期検査が必要です。
- 男性同性愛者との性交渉を持つこと
- 麻薬使用者
- 風俗産業関係者
一度でも性病にかかったことがあればHIVの検査をしておくことをお勧めします。 保健所や病院で検査を受けることができます。まずはホームページなどで保健所に問い合わせてみてください。
梅毒
梅毒は一昔前の病気と思われていますが、現在20代前半女性の感染者が増えていています。初期は外陰部にしこりを形成します。その後両鼠径部のリンパ節が硬く腫れますが、無痛ですので3週間ほどで焼失します。潜伏期間を経て全身の器官が侵される病気です。HIVに感染している患者さんには梅毒に感染している患者さんも多く、検査される時には同時にHIV検査も受けられることをお勧めします。お薬で根治できますので、かかりつけの医師の指示に従って服薬・検査を受けてください。