腎盂がん・尿管がんの治療について
腎盂がん・尿管がんの治療について
治療方法
転移の無い腎盂がん・尿管がんに対しては、手術治療が第一選択となります。
早期に手術治療を行えば、根治出来る可能性が高い病気です。
腎がんの場合は腎摘除術(または腎部分切除術)を行い、腎盂がん・尿管がんの場合は腎尿管全摘除術(腎と尿管を一塊にして摘出)を行います。
当院では積極的に腹腔鏡下手術を導入してきました。
腹腔鏡下手術とは、5~12mm程度の穴を数か所お腹に開け、お腹の中を炭酸ガスで膨らませ、その穴から手術用のカメラや器具を挿入して行う手術の事です。
開腹手術と比較して、出血が少なく、カメラによる拡大視野で手術を行うため精密な手術が行え、出血を最小限に抑えることができます。
また傷が小さく美容的に優れ、手術後の痛みが少ないことも特徴です。
手術後の回復も早く入院期間も短縮でき、早期の社会復帰が期待できます。当院では4K高精細度モニターを導入し、より丁寧に安全な腹腔鏡手術が行えるようになっています。
2022年4月にロボットによる腎尿管全摘除術が保険適応となりました。
ロボット手術のメリット
ロボットによる手術による考えるメリットは、
- 尿管と膀胱のつなぎ目の処理がさらに正確にできる(腹腔鏡の手術では腎臓は腹腔鏡で手術しますが、尿管の下方の処理をするために下腹部を5〜8cm切り開腹手術をして処理します)。
- 手術時間の短縮:腹腔鏡で身体を横向きにして腎臓の処理をした後に、身体を平らに戻して下の尿管の処理をしますが、ロボット手術ではその必要がなくなります。
腹腔鏡手術でもロボット手術でも、手術の最後には腎臓を取り出すため約5cmの傷をつけて身体の外に摘出します。
腹腔鏡の場合は尿管処理のために下腹部につける5〜8cmの傷から腎臓を摘出しますが、ロボットの場合は上腹部に作るロボット用の穴をつなげて5cmほどの傷として、そこから摘出します。
ロボット手術が不向きな方もいます。過去に胃・大腸・胆嚢などの手術をしてお腹の中の腸の癒着がある方は、お腹の中を通してするロボット手術ではなく、背中側からする腹腔鏡手術をすることがあります。
腹腔鏡手術に使用するカメラシステム
ロボット支援下腎尿管全摘術
手術の概要
入院期間:1〜2週間
全身麻酔
手術時間:2〜4時間
保険適応手術
手術前に行うこと
- 診断の確認(画像・尿細胞診の結果など)
- 他の大きな病気の有無・程度を確認
- 内服薬の確認
- 手術前検査:心電図、呼吸機能検査、胸部・腹部レントゲン写真、採血(感染症など)
※必要に応じて内科医・麻酔科医と相談
入院から退院まで
- 手術の前日に入院していただきます。
- 入院後、担当医と看護師から手術の説明があります。
- 手術日は午前9時あるいは午後1時半から手術を行います。
- 手術時間は2〜4時間かかります。
- 手術当日はベッド上で過ごしていただき、手術翌日から歩行可能です。
- 腸の動き、腹部レントゲンを確認してから食事が始まります。
- 個々で異なりますが、尿管を切除する時に膀胱が大きく開いた場合は尿道のカテーテルは約1週間後に抜きます。それ以外は手術後2、3日内に抜きます。
手術の流れ
- 前日入院
- 全身麻酔
- 手術台の上で横向きに寝る
- 5〜6 個のポートを挿入
- 手術実施
- 手術終了、麻酔終了
- 病棟へ移動
- 1、2日後から食事再開
- 膀胱が大きく開いた場合は約1週間後に 尿道カテーテルを抜く (それ以外は2、3日内に抜く)
- 発熱・排尿状態を確認し退院へ