間質性膀胱炎の治療について
間質性膀胱炎とは?
間質性膀胱炎とは、膀胱に原因不明の炎症がおこり、それによって頻尿、尿意亢進、尿意切迫感、膀胱や尿道の違和感や痛みなどの症状がでる病気です。通常の膀胱炎は大腸菌などのばい菌によって引き起こされ、尿検査で白血球の上昇などの異常がみられますが、間質性膀胱炎はばい菌が原因ではないため、尿検査で異常をみとめないことも多いです。原因はいまだに解明されていませんが、膀胱粘膜の機能障害や細胞増殖の阻害、免疫学的な異常反応(自己免疫反応)、尿中の毒性物質、疼痛に対する過敏性(神経の異常)などが考えられています。
病気のタイプからハンナ型と非ハンナ型に分かれ、ハンナ型では膀胱の内視鏡でハンナ病変と呼ばれる特有の異常がみられます。ハンナ型間質性膀胱炎は平成27年難病に指定されています。
間質性膀胱炎の症状
もっとも特徴的な症状は、尿が溜まると出現する膀胱の痛みです。排尿後に疼痛は軽減・消失するため、痛みを回避するために何度もトイレにいく(頻尿)ようになります。初期には症状が軽いこともあり、トイレが近い、尿がたまると膀胱に違和感を感じるなどの症状で発見されることもあります。このほか、残尿感、排尿困難、排尿時痛、尿道・陰部・会陰・骨盤痛・腰痛・性交時痛などの症状をともなうこともあります。症状が多彩なことから、最近は「慢性骨盤痛症候群」と呼ばれることもあります。
間質性膀胱炎は症状が良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、進行していくことがあります。症状は、ストレスや、刺激物(香辛料の効いた食品、柑橘類、炭酸飲料、アルコール、喫煙)などで悪化すると言われています。
間質性膀胱炎の検査・治療
まず間質性膀胱炎と診断するためには、その他の病気(細菌性膀胱炎や膀胱がん、膀胱結石など)を否定することが大切です。尿検査や尿細菌培養検査を行って感染の有無を調べたり、腹部超音波検査や尿細胞診検査(がんの検査)を行います。また排尿日誌という尿の日記帳を付けていただき、1回の排尿量や1日の尿量、排尿回数などを調べることが必要になります。 間質性膀胱炎の診断には、膀胱内に水を入れた状態(膀胱水圧拡張術)での膀胱鏡検査所見が大切です。この検査は、膀胱が水で膨らむと痛みをともなうため、麻酔をかけて行います。水を入れながら膀胱内を膀胱鏡で観察し、散在性の出血や膀胱粘膜の亀裂、潰瘍(Hunnerハンナ―病変)など間質性膀胱炎に典型的な所見がみられれば、診断が確定します。この膀胱水圧拡張術は、間質性膀胱炎の検査と、治療にもなります。当院では通常短期間の入院で行っています。
その他、食事療法、薬物療法(抗うつ薬、鎮痛薬、抗アレルギー薬、漢方薬など)、膀胱鏡で潰瘍病変をみとめた場合経尿道的潰瘍凝固術などを行います。症状が軽い場合、まずは食事療法や薬物療法で経過をみることが多いです。
詳しくは泌尿器科外来にお問い合わせください。泌尿器科担当医が詳しく説明いたします。
※現在、間質性膀胱炎・膀胱痛の治験を実施しております。ご協力いただける方はお気軽にお尋ねください。