ロボット支援下腎部分切除術とは?
腫瘍径の小さい腎臓がんに対するロボット支援下腎部分切除術
(RAPN : Robot-assisted partial nephrectomy)
腎臓がんの手術には「腎摘除術(全摘手術)」と「腎部分切除術」があります。 腎部分切除術は、腫瘍とその周辺組織のみを切除し、正常な腎臓を温存する手術術式です。一般的に腫瘍の大きさが4㎝以下の比較的小さな腎臓がんで、腎臓の外側に突出して存在する腫瘍に対して、腎部分切除術は標準手術術式となっています。
腎部分切除術は、腎臓の血流を一時的に遮断(阻血)する→腫瘍を含む腎臓の一部を切除する→切除後の欠損部分を縫い合わせ阻血を解除する、というのが一般的です。
腎部分切除術の手術方法には、「開腹手術」、「腹腔鏡手術」、「ロボット支援下手術(ダビンチ)」の3つの方法があります。開腹手術は広い術野を得ることができ、腫瘍の切除や残った腎臓の縫合などの操作が比較的容易に行えるため、以前より広く行われてきました。しかし、肋骨の下付近に比較的大きな切開創(7~10cm)が必要で、脇腹の筋肉を切開しなければならず、傷が大きく、手術後の痛みが大きいことが問題点とされていました。 腹腔鏡手術による腎部分切除術は、開腹手術に比べて傷が小さく、術後の痛みが少ないなどメリットがありますが、お腹に腹腔鏡の鉗子を挿入するための小さな穴を通して手術を行うため、腫瘍の切除や腎臓の縫合が比較的難しく、手術時間が長くなることから、特定の施設でしか行われませんでした。
ロボット支援下腎部分切除術(RAPN)
ロボット支援下腎部分切除術(RAPN)は、手術支援ロボットの「ダビンチ」を用いることで、三次元の立体的な画像を4K高精細度モニターに投影し、腫瘍と臓器の正確な位置関係をとらえながら、より繊細な手術を行うことができます。従来の腹腔鏡手術と異なり、人間の手の関節以上に自由度の高いロボット鉗子を用いることで、腫瘍の精密な切開や、残った腎臓の縫合を正確により早く行うことが可能です。また、腹腔鏡手術と同様に傷口が小さいため、術後の痛みが少なく、患者さんの社会復帰も早めることが可能になりました。すなわち、ダビンチを用いたロボット支援下腎部分切除術(RAPN)は、開腹手術と腹腔鏡手術の利点を合わせ持った術式と言えます。東京国際大堀病院ではロボット支援下腎部分切除術(RAPN)を導入しました。より患者さんの身体への負担が少なく、安全で正確な腎臓がんに対する治療を目指しています。腎臓がんの治療についてご相談のある方は、泌尿器科外来< (病院代表TEL: 0422-47-1000)または無料ネット相談までお問合せください。