筋層非浸潤性膀胱がんに対する
エドスチラドリン®膀胱内注入液療法について
筋層非浸潤性膀胱がんとは
膀胱の内側にできたがんが尿路上皮や粘膜下結合組織(膀胱の表面の浅いところ)にとどまっており、筋層(膀胱の筋肉の層)には達していない状態の膀胱がんです。
筋層非浸潤性膀胱がんにはTURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)やBCG(ウシ型弱毒結核菌)膀胱内注入療法などが有効ですが、中には十分な効果が得られず、膀胱を全て取り除く「膀胱全摘除術」などを選択する場合があります。
エドスチラドリンとは
エドスチラドリンによる治療は、「上皮内がん(CIS)を伴う高リスク筋層非浸潤性膀胱がんの患者さんのなかで、BCG膀胱内注入療法の実施回数や再発までの期間、病理検査の結果などを踏まえ、担当医が『BCGを継続するよりも別の治療選択肢が適切』と判断した場合」が対象となります。
膀胱全摘除術の遅れは筋層浸潤がん(膀胱の筋肉の層までがんが達している状態)への進展または遠隔転移(がんが膀胱以外の場所に広がること)を有する膀胱がんへの進展の可能性があり、致死的な転帰につながる場合もあります。
エドスチラドリンは、「インターフェロンアルファ-2b(IFNα2b)」というタンパク質をつくりだす遺伝子を、膀胱の尿路上皮細胞に届ける運び屋(治療用ベクター)に組み込んだ、遺伝子治療薬です。
エドスチラドリン投与によってつくられたIFNα2bは、患者さん自身の免疫細胞によるがん細胞への攻撃を活性化するなどの作用があると考えられています。
エドスチラドリンの適応
BCG膀胱内注入療後に残存・再発した上皮内癌を有する高リスク筋層非浸潤性膀胱癌の患者さん、ただしBCG膀胱内注入療法の再導入の適応とならない患者さんに限ります。
エドスチラドリンの投与方法
通常のBCG膀胱内注入療法と同じで、①尿道から細い管(カテーテル)を入れ②薬を膀胱の中に注入します③一定時間(約1時間)薬を膀胱の中にとどめます④その後、自然に排尿します。 当院では3泊4日の入院での治療を予定しています。エドスチラドリン投与3日後まで(投与日を1日目として3日目まで)は、尿を消毒(不活化)することが法律(カルタヘナ法*)で定められています。 副作用も少ない治療ですが治療後の尿の処理などが必要で入院がより良いと考えています。この治療を3か月に一回程度繰り返して行います。
エドスチラドリンの副作用
エドスチラドリンの膀胱内注入時や投与後には、以下の副作用があらわれることがあります
注意が必要な副作用
膀胱痙縮(お薬投与時の膀胱収縮):エドスチラドリンを注入しているときや注入後の保持中に、お薬の刺激によって膀胱の収縮が起こることがあります。
滴下投与部位分泌(お薬の漏出):尿道からお薬や尿が漏れ出る場合があります。
主な副作用
国内外の臨床試験では、主な副作用として、排尿困難・排尿時痛・尿意切迫・切迫性尿失禁・血尿頭・痛熱倦怠感・発熱・寒気などがあります。
潜在的なリスク
播種性アデノウイルス感染:エドスチラドリンの治療用ベクターには、複製する能力を持たないアデノウイルスベクターを使用しています。しかし、何らかの影響で複製する能力をもつアデノウイルスベクターがからだの中でつくられる潜在的なリスクを否定できないとされています。これまでの国内外の臨床試験から得られた情報より、播種性アデノウイルス感染の発症例は確認されていません(2025年8月3日時点)。
投与後に気をつけること:尿の消毒(不活化)について
- エドスチラドリンを膀胱内に注入したあとの尿には治療用ベクター(アデノウイルスベクター)が一時的に含まれる可能性があります。
- エドスチラドリン投与3日後まで(投与日を1日目として3日目まで)は、尿を消毒(不活化)することが法律(カルタヘナ法*)で定められています。
- 本品投与3日後までの排尿後は、石けんで十分に手指を洗い、ウエルセプト®で消毒してください。
- 尿の消毒(不活化)の方法については、患者さん用リーフレット(エドスチラドリンによる治療を受けられる患者さんとそのご家族へ)をご参照ください。
*カルタヘナ法(遺伝子組換え生物等の規制による生物多様性の確保に関する法律)
改変ウイルスなどの遺伝子組換え生物を安全に管理し、生物の多様性(生きものたちの豊かな個性やつながり)を守るための法律です。遺伝子組換え生物等が環境の中に広まり、生態系に影響を与えることを防ぐための、適切な使用方法や守るべきルールを定めています。エドスチラドリンによる治療の際、製品の保管、調製、運搬、投与、廃棄について、カルタヘナ法で定められたルールを守る必要があります。
